復刻モデルという存在は珍しくありませんが、ジャガールクルトの復刻モデルは「マニュファクチュールの本気」を感じさせられます。
というのもこの150周年記念モデルは、ムーブメントまで復刻したからです。
復刻ムーブメントの対象となったモデルのデッドストックパーツを使って、ムーブメントCal.P494/1Aを生産。
その結果、400本程度しか作ることができなかったと言われていますが「素材によって数の上限が決まる」というワインのような時計です。
そしてその見た目もとても魅力的で、良き時代の良い要素を失わずにうまく復刻したという印象。
ですから「世界中のマニアが唸る復刻モデル」としてかなり高値になってそうですが、実は拍子抜けするほど安いのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2009年8月 の安値(ヤフオク) |
2017年8月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ジャガールクルト
トリプルカレンダー ムーンフェイズ 150周年記念モデル |
中古 | 8年 0ヶ月 |
¥421,050 | ¥699,840 | 278,790 | 166.21% |
現在の69万9840円という額でも過去相場と比べて27万円以上の値上がり状態。
しかし、ジャガールクルトの金無垢複雑モデルというだけでも60万円台で買える存在はないという状況。
ましてこの時計は上記の要素以外にも先のような強い要素がてんこ盛り。
ですから、過去の価格も今の価格もこの時計の内容を考慮するとかなり安いといって良いでしょう。
おそらくこの時計が評価されていない理由はそのデビュー年にあるでしょう。
この時計がデビューしたのは1982年。復刻モデルは90年代に登場したモデルから目立ち始めたという事情があるため、1982年の復刻モデルという存在は「ピンとこない」という事情があります。
このモデルは1946年の復刻版なのですが「1982年に出た1946年の復刻モデル」というのは説明しづらい点です。
同じく今となっては説明しづらい復刻モデルとしてホイヤーカレラの1964年復刻モデルがありますが、それは出た時期が96年と第一次時計ブームの時期に近いため、認知度があるのです。また、海外でも「1964 Re-edition」として有名です。
まして150周年記念の数は少ないため、マニアックすぎるモデルとしてこれまでその存在自体を知られていないという傾向だったのでしょう。
これだけ良い内容でも、認知をされないと需要が生まれないため、安く評価されているのでしょう。
ということでこの時計、かなり良い選択肢だと思います。
ただ、数が少ないためこれを逃したら次に買えるのはいつになるのかという一方、数が少なすぎて今後も需要>供給とならないかもしれません。
とはいえ、これだけの内容で60万円という価格は、今の相場でも相対的に安く感じることは確かです。