パネライというブランドにおいて重要な要素が2つあります。
それは、
という2点。
軍に採用されていた経緯を持つ軍用時計という存在は、それほど珍しくないモノですが、パネライの場合は一般販売されていなかったという点がレア。
また、ロレックスがムーブメントを供給していたブランドというのはパネライの他にはおそらく存在せず、とてつもない希少価値を感じさせるポイントです。
そしてそれら要素は1940年前後に生産されたモデルに当てはまるという点もミソ。50年以上前の出来事からは、語り継がれる伝説のようなストーリーを感じることができるのです。
ただこれは、1940年代前後の出来事であるがゆえに、「今のパネライとは関係ない」と認識させる点でもあります。
しかし、パネライが流行った2002年頃から今に至るまで、パネライには上記のような「関係無さ」を感じることはなく、『何か特別なモノ』という印象が残っています。
その理由こそ、2005年頃までに造られたラジオミールの限定モデルの中に存在。
特に凄いモデルこそ、1997年に限定モデルとして生産されたPAM00021です。
PAM00021は1938年のラジオミールを忠実に再現したため、97年の腕時計としては“巨大サイズ”である47mmを採用。
しかも単なる復刻モデルというだけでなく、ケースはプラチナという超高級モデルとして仕上がっています。
そしてPAM00021において最も凄い点は、ロレックスのデットストックムーブメントが採用されているという点。
ですから、このPAM00021こそ、“一般販売されたパネライ”と“軍用だった時代のパネライ”とをつなぐモデルなのです。
しかしPAM00021は、「ロレックスムーブメントにプラチナケース」というだけあって、かなり高価なモデル。
さらにインターネット上でもアップロードされている画像が無いほど希少であり、その実物を見たという人はほぼいないでしょう。
けれどもパネライはその後、雲上すぎる存在のPAM00021を“入手可能なモデル”として2006年に限定販売したのです。
それがこのPAM00232です。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2009年7月 の安値(ヤフオク) |
2017年9月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オフィチーネパネライ
ラジオミール PAM00232 |
中古 | 8年 2ヶ月 |
¥688,000 | ¥699,800 | 11,800 | 101.72% |
希少なPAM00021を持っている人でも、普段使い用にPAM00232を持っていても不思議ではないぐらい見た目はほぼ同一。
PAM00232の見た目は『プラチナ+ロレックスムーブメント』のPAM00021にそっくりですが、そのムーブメントはルミノールベースなどと同じOP X(ユニタスベース)であり、ケースもステンレススチール製。
そのため、当時の定価も70万円程度とびっくりするほど高くなく、まさに地上に降りてきたPAM00021という印象です。
パネライがうまいところは、このPAM00232を通常販売したのではなく、限定モデルとして出した点。
ですから、PAM00021のレアさを失うこと無く、さらにPAM00232の存在自体にも希少性を感じさせています。
ただし「今から10年前に出た限定モデル」という条件ながら、今でもかなりの数が売り出されている傾向。
さらにその相場は2009年でも現在でもそれほど変わらないため、あまり相場が変動しないモデルです。
ちなみに2010年にもこれと同じような限定モデルPAM00294が出ていますが、裏スケ仕様という要素が追加。
PAM00294は現在“売り出されている個体が無い”という状況なのに、2006年に出たPAM00232は数が多いという不思議な状況となっています。